法人が利用できる太陽光発電に関する補助金を紹介
太陽光発電の補助金は単独導入では少なく、蓄電池などとの併用が必要です。法人向けには「需要家主導導入促進事業」や「価格低減促進事業」などがあり、CO2削減や電気代削減を支援します。また、窓・壁一体型の発電設備や、未利用地を活用した導入も推奨されています。
目次
太陽光発電の導入のみの補助金は公募無し
埼玉県を含む全国で法人向けに提供される補助金には、太陽光発電を単独で導入する場合に直接的な補助金が設けられていないことに注意が必要です。
多くの補助金制度では、太陽光発電単体ではなく、蓄電池や他の再生可能エネルギーとの組み合わせが必要とされています。例えば、埼玉県でも同様に、太陽光発電のみを対象とした補助金の公募が行われていません。
太陽光発電のみを導入しようとする法人は、他の制度の活用が難しい場合があるため、事前の確認が重要です。さらに、太陽光発電単独での導入は、国が進める脱炭素化政策においても、発電容量や効率の面で特定の条件を満たすことが必要です。
具体的には、発電所規模が2MW以上の場合に対象となるなどの条件が設定されています。
また、蓄電池との併用が必須であることや、設備の設置場所や使用用途によって補助対象が変わることもあります。法人が太陽光発電の導入を検討する際には、これらの条件を理解した上で、適切な補助金を活用することが求められます。
需要家主導太陽光発電導入促進事業
「需要家主導太陽光発電導入促進事業」は、埼玉県を含む全国の法人・企業が太陽光発電システムを導入する際に利用できる補助金制度です。
法人が自社で使用する電力を太陽光発電によって賄い、CO2排出削減や電気代削減を目指す際に有効な支援となります。この事業は経済産業省が主導しており、企業が脱炭素化に取り組む際の経済的負担を軽減することを目的としています。
◇補助対象
「需要家主導太陽光発電導入促進事業」の補助対象は、太陽光発電システムを導入する法人です。具体的には、工場、オフィスビル、商業施設などの事業用施設に太陽光発電設備を設置する法人が対象となります。
この補助金制度は、太陽光発電システムだけでなく、蓄電池をセットで導入する場合も対象となるため、発電した電力を蓄電して効率的に使用することが奨励されています。
こうした蓄電池の導入は、エネルギーの安定供給とコスト削減に寄与し、持続可能なエネルギー利用の一環として評価されます。法人が利用する建物や施設に設置されることが前提で、特に自家消費を目的とする場合に補助が適用されます。
◇補助金額
補助金額は、設置する太陽光発電システムや蓄電池の規模や仕様によって異なります。
太陽光発電システムの場合、導入費用の33%・50%・66%のいずれかが補助され、蓄電池に関しても導入費用の33%もしくは50%が補助されます。
例えば、1,000万円の太陽光発電システムを設置した場合、最大で660万円の補助が受けられる可能性があります。
このように、企業の初期投資額を大幅に軽減し、資金負担を抑えることで、より多くの企業が再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組めるようになります。
補助金は原則として設備費用の一部を定額または割合で支給されるため、設置費用や設置工事費用の一部を補助金でカバーすることができます。
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
画像出典:フォトAC
「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」は、埼玉県をはじめ全国の法人が太陽光発電システムを導入する際に活用できる補助金制度です。
この事業の主な目的は、太陽光発電システムと蓄電池の価格を引き下げ、導入コストを軽減することで、再生可能エネルギーの普及を促進することにあります。蓄電池の併用によって太陽光発電のエネルギーを効率的に活用し、エネルギーの自家消費を可能にすることが期待されています。
◇補助対象
本事業の補助対象は、法人が導入する「太陽光発電システム」と「蓄電池」です。
自家消費型のエネルギー利用を目的としているため、法人が所有するオフィスビルや工場などに太陽光発電システムを設置し、発電した電力を自社で消費することが基本条件となります。さらに、蓄電池を併せて導入することで、発電した電力を蓄え、必要に応じて利用できる体制を整えることが推奨されています。
この補助制度は、単に太陽光発電設備を導入するだけでなく、災害時や停電時にも電力供給を安定化させることを目的としているため、蓄電池を導入する法人には特にメリットがあります。
また、法人だけでなく、産業用施設や集合住宅などの多様な施設が対象となるため、幅広い業種や施設タイプで補助を活用することができます。
◇補助金額
補助金額は、太陽光発電システムと蓄電池の導入費用に応じて設定されます。
具体的には、太陽光発電システムの補助は、購入の場合で1kWあたり4万円、リースやPPAモデルで導入する場合は1kWあたり5万円が補助されます。
また、蓄電池については、1kWhあたり4万円から4.5万円の補助が適用されます。
補助金の上限は、太陽光発電システムが2,000万円、蓄電池が1,000万円となっており、大規模なシステムの導入にも対応しています。
窓・壁と一体型の太陽光発電の導入支援
「窓・壁と一体型の太陽光発電の導入支援」は、既存の太陽光発電システムとは異なり、建物の外装に太陽光パネルを直接組み込む新しい手法を対象とした補助金制度です。
この事業は、限られた屋根スペースしか持たない施設や、建物全体を有効活用して発電効率を高めたい法人にとって大きなメリットがあります。再生可能エネルギーの普及とCO2排出削減を推進するため、政府は費用面でのサポートを強化しており、導入の際に発生する高額な費用を補助金で軽減することが目的です。
◇補助対象
本事業の補助対象となるのは、窓や壁と一体化した太陽光発電システムです。
通常、屋根上に設置される太陽光発電システムと異なり、建物の構造に直接組み込むことで、より大きな発電面積を確保できるのが特徴です。
商業施設や高層ビルといった広い外壁面を持つ法人にとっては、これまで利用できなかったスペースを活用して、再生可能エネルギーを取り入れることが可能となります。
また、この補助金は、単に建物の設置場所を最大限活用するだけでなく、電力を自家消費する法人が優先的に対象となります。建物の窓や壁にパネルを組み込むことで、従来の屋根だけでは賄えなかった電力を供給できるため、より多くの再生可能エネルギーを自社で使用できる点も大きな利点です。
◇補助金額
補助金額は、窓や壁と一体化した太陽光発電システムの導入に必要な費用に応じて支給されます。
具体的には、窓と一体化したシステムの場合は、導入費用の60%が補助され、壁と一体化したシステムでは導入費用の50%が補助されます。
地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業
従来の屋根や専用の土地に限らず、農業用地やため池、廃棄物処分場などのスペースを活用することで、エネルギーの自給自足を目指す取り組みが進んでいます。
「地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業」は、地域の特性を活かしながら再生可能エネルギーの導入を支援するもので、これによりさらなる普及が期待されています。
本事業では、特に農業と太陽光発電の併用や、未利用地を有効活用することが奨励されています。
◇補助対象
本事業の補助対象となるのは、農業用地、ため池、廃棄物処分場などの新たな設置場所を活用して太陽光発電システムを導入する法人や自治体です。「ソーラーシェアリング」などの形態が注目されており、農地を活用しながら農作物の栽培と発電を同時に行うプロジェクトが支援対象となります。
また、地域社会において遊休地となっているため池や廃棄物処分場も太陽光発電の設置場所として適しています。
◇補助金額
補助金額は、導入する太陽光発電システムの費用に応じて設定され、導入費用の50%が上限として支給されます。
この補助制度を活用することで、初期投資額の負担が大幅に軽減され、法人や自治体が積極的に太陽光発電システムを導入しやすくなります。
太陽光発電に関する補助金制度は、単独での導入には支援が少なく、蓄電池など他のエネルギーシステムとの併用が求められます。
法人向けには「需要家主導太陽光発電導入促進事業」や「ストレージパリティの達成に向けた価格低減促進事業」があり、CO2削減や電気代削減の支援が提供されます。
また、建物の窓や壁と一体化した太陽光発電設備の導入支援や、未利用地や農地を活用した再生可能エネルギー導入も奨励されています。