パワコンが故障したら修理?交換?それともリパワリング?
パワーコンディショナ(パワコン)は、太陽光発電システムにおいて直流電力を交流電力に変換する重要な装置で、寿命は約10~15年です。設置環境や使用状況によって異なり、定期的なメンテナンスが必要です。故障時には発電量の低下や異音、発煙が発生することがあり、早期対応が重要です。保証期間が終わったパワコンにはリパワリングが推奨され、最新技術へのアップグレードにより発電効率や経済性の向上が期待できます。
目次
パワコンの寿命は?
太陽光発電システムにおいて重要な役割を担うのが「パワーコンディショナ」、通称「パワコン」です。パワコンは、太陽光パネルで生成された直流電力を、家庭や事業所で使える交流電力に変換する装置です。
太陽光発電は、太陽光パネルが受け取ったエネルギーを電気に変換するだけでは、家庭や電力会社にそのまま供給できません。そのため、パワコンを用いて電力の変換や制御を行うことで、効率的なエネルギー利用が可能になります。
パワコンは太陽光発電システムの心臓部とも言え、システム全体の安定稼働に欠かせない存在です。しかし、電気機器であるため、その寿命には限りがあり、定期的なメンテナンスや交換が必要です。
◇パワコンの寿命
パワコンの寿命は、一般的に約10年から15年と言われています。寿命を左右する要因としては、設置環境、使用頻度、メンテナンスの頻度などが挙げられます。例えば、過酷な気象条件下にある地域では、パワコンが早期に劣化する可能性が高まります。
また、日常的なメンテナンスや定期点検を行わない場合、寿命が短くなることもあります。太陽光発電システム全体は20年以上の耐久性を持つことが多いですが、パワコンの交換時期がその間に訪れることを考慮し、適切な対応が求められます。
寿命を超えて使用し続けると、故障や発電効率の低下が発生しやすくなり、早期交換を検討することが大切です。
パワコンが故障したらどうなる?
パワコンが故障すると、太陽光発電システム全体に影響を及ぼす可能性があります。特に、パワコンは電力の変換や制御を行うため、これが正常に動作しないと、発電された電力が効果的に利用されなくなります。
故障の兆候を早期に発見することは、システム全体の安全と効率を保つために重要です。本章では、パワコンが故障した際に起こりうる症状について解説します。
◇発電量が低下する
パワコンが故障すると、最も一般的な症状として、発電量が低下します。これは、パワコンが正常に直流電力を交流電力に変換できなくなるためです。発電量の低下が続くと、太陽光発電システムの導入による経済的なメリットが大幅に減少し、長期的には収益に影響を及ぼす可能性があります。
発電モニタリングシステムを利用している場合は、異常が発生するとすぐに通知が届くことが多いため、早期対応が可能です。
◇異音がする
故障したパワコンからは、異音が発生することがあります。通常、パワコンは静かに稼働するため、異常があれば音で気づくことができます。異音は、内部のコンポーネントが正常に動作していないサインであり、放置するとさらなる損傷や火災リスクが高まることもあります。
異音が聞こえた場合には、すぐに専門業者に連絡し、点検を依頼することが重要です。
◇発煙する
最も深刻な故障の兆候の一つが、パワコンから発煙する場合です。これは内部の部品が過熱している可能性があり、火災のリスクが非常に高くなります。
発煙を確認した場合には、直ちに電源を切り、専門の修理業者に依頼する必要があります。発煙が発生する前に、定期的な点検を行い、部品の交換や修理を行うことで、大きな事故を未然に防ぐことが可能です。
故障したパワコンは修理できる?
パワコンが故障した際には、修理できる場合と交換が必要な場合があります。故障の程度によって、対応方法が異なるため、専門業者による診断が必要です。本章では、軽度の故障と重度の故障に分けて解説します。
◇軽い故障の場合
軽い故障であれば、パワコンを修理することが可能です。例えば、内部の基板や接続部分の故障であれば、部品交換のみで修理が完了することが多いです。軽度の故障は修理費用も比較的安価で済むことが多いため、早めに対応することでコストを抑えることができます。
パワコンが正常に稼働していない場合でも、軽度の故障であれば、交換せずに修理で対応できるため、まずは専門業者に診断を依頼することが重要です。
◇重度な故障の場合
重度な故障、特にパワコンの内部の重要なコンポーネントが損傷している場合は、修理よりも交換が必要になることがあります。重度な故障では修理費用が高額になることがあり、その場合は新しいパワコンへの交換が経済的に見ても合理的です。
パワコンの寿命が近づいている場合や、修理費用が高額になる場合は、最新の機器に交換することで、発電効率を向上させ、システム全体の安定性を保つことができます。
保証期間が終わったパワコンならリパワリングがおすすめ
画像出典:フォトAC
パワコンの保証期間が終了した後、故障や性能低下が発生した場合、リパワリングを検討することがおすすめです。リパワリングとは、既存の太陽光発電システムを最新の技術や設備にアップグレードし、発電効率や耐久性を向上させる方法です。
特に、パワコンの保証期間が終了した後は、リパワリングによってシステム全体の性能を向上させる絶好の機会となります。ここでは、リパワリングについて詳しく解説します。
◇リパワリングとは?
リパワリングとは、既存の太陽光発電システムに対して、老朽化した機器を新しい機器に交換することで、システム全体の性能を向上させる手法です。
特に、パワコンやパネルが古くなった場合に行われ、最新技術を採用することで、発電量の改善や運用コストの削減が期待されます。リパワリングは、システムの寿命を延ばし、発電効率を最大化するための有効な手段として注目されています。
◇リパワリングのメリット
リパワリングを行うことで、多くのメリットがあります。
売電収入の増加
リパワリングによって発電効率が向上すれば、発電量が増加し、それに伴い売電収入も増加します。特に、固定価格買取制度(FIT)を利用している場合は、売電価格が決まっているため、発電量の増加は直接的に収益向上に繋がります。売電収入の向上は、初期投資の回収を早めるだけでなく、長期的な収益安定化にも貢献します。
ランニングコストの低減
リパワリングによって最新の機器に交換することで、メンテナンス費用や修理費用などのランニングコストを抑えることが可能です。新しい機器は、故障が少なく効率的に稼働するため、長期的には運用コストの削減が見込まれます。
システム全体の経済性が向上し、導入後も安定した運用が可能となります。特に、故障頻度の高いパワコンを最新のものに交換することで、頻繁な修理やメンテナンスにかかる費用を大幅に削減することができます。
パワーコンディショナ(パワコン)は、太陽光発電システムで直流電力を交流電力に変換する重要な装置で、一般的に寿命は10~15年です。設置環境や使用状況によって寿命が変わり、定期的なメンテナンスが必要です。
故障すると発電量が低下したり、異音や発煙が発生したりすることがあり、これに気づくことで早期の対応が求められます。軽度の故障は修理可能ですが、重度の場合は交換が必要です。
保証期間が終了したパワコンにはリパワリングが推奨され、最新技術にアップグレードすることで発電効率が向上し、売電収入やランニングコストが改善されるメリットがあります。リパワリングを行うことでシステム全体の安定性が保たれ、長期的な経済性が向上します。