太陽光発電におけるパワコンとは?選ぶ際のポイントと自立運転機能
パワーコンディショナー(パワコン)は、太陽光発電システムで発電された直流電力を家庭用の交流電力に変換し、余剰電力を売電する役割を持っています。自立運転機能付きの製品は災害時にも電力を利用可能です。パワコンを選ぶ際には、過積載率、設置場所、運転音、塩害対策、保証内容を確認することが重要です。
また、蓄電池を併用することで夜間や悪天候時でも電力を安定して供給でき、停電対策としても有効です。
目次
パワコン(パワーコンディショナ)とは?
太陽光パネルに欠かせないのがパワーコンディショナー(パワコン)です。
普段、一般家庭で利用している電力は、家庭用に変換されたものであり、発電された直後の電力とは異なります。そのため、発電された電力を家庭用として使うためにもパワコンは必要不可欠な存在です。
今後、埼玉県で自宅用の太陽光発電導入を検討している方は、パワコンの役割について理解しておきましょう。
◇パワコンの役割
パワコンの代表的な役割には、電力変換と売電の2つがあります。
・発電した電気を変換する
家庭で使える電気は「交流電力」ですが、太陽光パネルで発電されるのは「直流電力」です。そのままでは家庭で使えないため、パワーコンディショナー(パワコン)を使って交流電力に変換します。
また、余った電力を売る際も「交流電力」にする必要があるため、パワコンはその変換を行い、重要な役割を果たしています。
・発電した電気を売電する
パワーコンディショナー(パワコン)は、太陽光パネルで発電された電気を家の中に送る役割を果たしています。まず、発電された電気がパワコンに届き、家で使う分を優先し、余った電気は売電する仕組みです。
家で使う電気と売電する電気の電圧は異なるため、パワコンは電柱や電線の電圧に合わせて売電用の電気を調整します。また、災害時に使える「自立運転機能」や、発電量を最大化する「MPPT制御機能」なども備えています。
パワコンを選ぶ際のポイントとは?
パワコンは重要な役割を担っている機能のため、しっかりと選ぶことが大切です。パワコン選びで失敗しないためにも、まずはパワコンの仕組みを理解した上で、いくつかのポイントを押さえておくのが重要です。
パワコンを選ぶ際のポイントには、次の5つがあります。
◇過積載率
太陽光発電における「過積載」とは、パワーコンディショナー(パワコン)の容量よりも多くの太陽光パネルを設置して、発電量を増やす方法です。過積載の有無で発電効率や電力供給が変わるため、非常に重要なポイントです。
太陽光発電には「ピークカット」という仕組みがあり、発電量が最大になる時間帯にパワコンの出力に合わせて発電を抑えます。このピークカットは、晴天時の2~3時間ほど、日射量が最も多い時間に起こり、その間に発電された電力の一部は使われずに捨てられてしまいます。
過積載を行うと、ピークカット時にも電力が捨てられることになりますが、それでも全体の発電量が増えるため、効率的な発電が可能です。また、日照時間が短い時間帯や悪天候時でも、安定した電力供給が期待できるという利点があります。
ただし、過積載には注意点もあります。過積載によって故障のリスクが高まったり、メーカーの保証対象外になる場合があるため、事前の確認が必要です。また、住宅用太陽光発電は10kW未満が基準とされており、それを超えると産業用とみなされるため、これも確認が必要です。
◇塩害対策
家が海の近くにある場合は、塩害対策がされているか確認するのが重要です。パワコンのような電化製品は塩害に弱いため、故障の原因にもなります。
ただし、塩害対策されている製品の中には保証の対象となる海辺からの距離が定められているケースもあるため、注意が必要です。
◇運転音
パワコンを選ぶ際には、運転音にも注意が必要です。特に、内部に冷却ファンが付いている製品は、動作時に音が大きくなることがあります。
住宅街では騒音の原因になることがあり、屋内設置の場合でも家族がうるさく感じることがあります。そのため、冷却ファンがないタイプを選ぶのもひとつの方法です。
ただし、冷却ファンはパワコンを適切な温度に保つための重要な機能です。メリットとデメリットを考慮して選ぶことをおすすめします。
◇設置場所
パワコンの設置場所も選ぶ際に確認しておく必要があります。メーカーによっては「距離を離して設置してください」と指定されているケースもあるため、事前の確認が必要です。
容量が大きくなれば、サイズ・重量も大きくなるため、あらかじめ考えていた場所に設置できないケースも少なくありません。パワコンを選ぶ際は、念入りに計画・確認しておきましょう。
◇保証
パワコンは、他の電化製品と同様に不具合が発生したり、故障したりするリスクがあります。塩害や豪雪、ゴミ・虫が入り込んでの故障や初期不良など、さまざまな要因から故障するケースも少なくありません。
故障や不具合などが発生した場合に役立つのがメーカー保証です。塩害対策のように距離など細かく条件が定められているケースもあります。どこまで保証してくれるのか、特殊な条件はないか確認しておくのが重要です。
パワコンの自立運転機能とは?
画像出典:フォトAC
ほとんどのパワーコンディショナーには「自立運転機能」が備わっています。これは、災害などで停電した際に電気を使える機能です。専用の「自立運転コンセント」に家電を差し込むことで、太陽光パネルで発電した電気を使用できます。
ただし、この機能を使っても、すべての家電が動くわけではありません。
◇使用できる電気は1,500W
自立運転機能で使用できる電気は1,500Wまでと決まっているため、1,500W以内の家電のみ使用できます。
主に使用できる家電は、冷蔵庫・電気ポット・炊飯器・電子レンジ・携帯電話の充電器・ノートパソコンなどは1,500W以内です。それぞれは1,500W以内ですが、複数同時に使用する場合は1,500Wを超過する可能性があります。
いざというときのために、あらかじめ使用する家電の組み合わせなどをシミュレーションしておくと安心です。
◇自立運転機能の注意点
自立運転機能は晴れている日中しか使用できないため、夜や雨天の場合は使用できません。
また、自立運転機能では発電した電気を自立運転専用のコンセントから供給します。そのため、自立運転コンセントに差し込める家電のみ使用可能です。コンセントに差し込んで使用しない各部屋の照明はつけられません。
◇蓄電池の併用がおすすめ
自立運転機能は、停電時に使用できる反面、夜や雨天時に使用できないなどのデメリットも多いです。自立運転のデメリットは、蓄電池を使用することで解消できます。
蓄電池とは、電気を蓄えておける機能を搭載した充電装置です。蓄電池は日中に発電した電気を夜にも使用でき、部屋の照明にも使用できます。そのため、太陽光発電とセットで導入しておくと安心です。契約時は割安になるため、最近ではセットで導入する方が増えています。
パワーコンディショナー(パワコン)は、太陽光発電システムに欠かせない機器です。太陽光パネルで発電された直流電力を、家庭で使用可能な交流電力に変換し、余った電力は売電する役割も担っています。さらに、災害時に電力を使える自立運転機能を持つ製品もあります。
パワコンを選ぶ際は、過積載率や設置場所、運転音、塩害対策、保証内容などを確認することが重要です。過積載を行うと発電効率が向上し、天候が悪い時でも安定した電力供給が可能になります。
また、蓄電池を併用することで、夜間や悪天候時でも電力供給が安定し、停電対策としても安心です。契約時に蓄電池をセットで導入する方が増えており、割安で導入できる場合もあります。