太陽光発電メンテナンスの重要性とは？義務化された背景と必要性を解説
太陽光発電のメンテナンスは、発電効率の維持や売電収入の確保に不可欠であり、法律で義務付けられています。特に2017年の改正FIT法により、10kW未満の住宅用設備も対象となり、適切な管理が求められています。
メンテナンスは「保守点検」と「維持管理」に分かれ、機器の清掃や交換、定期的な検査が含まれます。点検を怠ると、発電効率の低下や火災リスクが高まり、修理費用も増加します。専門業者による定期点検と所有者の自主点検が重要で、1回あたりの費用は2万円程度です。
目次
太陽光発電をメンテナンスする重要性
太陽光発電には、電気代の削減や売電収入といったメリットがあり、手間がかからないイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、住宅用太陽光発電のメンテナンスは、安全性を確保するために法律で義務化されています。
こちらでは、太陽光発電のメンテナンス内容や費用相場など、基本的なポイントを解説します。
◇住宅用太陽光発電のメンテナンス義務化
10kW未満の住宅用太陽光発電のメンテナンスは、2017年の改正FIT法に盛り込まれました。それまでは、設置時の「設備認定」で安全基準が満たされていれば良いとされていました。現在は、FIT認定を受けるためには、住宅用太陽光発電でもメンテナンスが義務化されています。
FIT法とは「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」のことで、事業者や個人が発電した再生可能エネルギーの電力を、電力会社が一定期間・一定価格で買い取るように国が定めた制度です。FIT認定されれば、住宅用太陽光発電で発電した余剰電力を電力会社に売却できます。
安定的、効率的に発電するために、設備を適切に保守点検・維持管理することが求められるようになりました。もし、メンテナンスを怠ると、最悪の場合、FIT認定が取り消されて売電ができなくなる可能性があります。
◇メンテナンスと保守点検の違い
太陽光発電におけるメンテナンスと保守点検には、それぞれ異なる役割があります。メンテナンスとは、太陽光パネルやパワーコンディショナといった機器、さらには架台の清掃や交換を行うことを指します。これにより、設備の汚れや劣化を防ぎ、長期的な安定稼働を維持することが目的です。
一方、保守点検は、設備に破損や故障、発電効率の低下が起きていないかを確認する作業であり、目視による点検や、特殊な機器を用いた数値測定を通じて、定期的に実施されます。
メンテナンスに明確な内容は法的に規定されていないため、太陽光発電のメンテナンスを専門に行っている会社に依頼して点検を行ってもらうのがおすすめです。
メンテナンスを怠ると罰則の対象となるリスクも
住宅用太陽光発電のメンテナンス義務に関する内容について確認してみると、確認すべき項目が多く、大変さを感じている方も多いでしょう。住宅用太陽光発電のメンテナンスがなぜ必要なのか、注意点も合わせてわかりやすく解説します。
◇罰則が科される
FIT認定されているにも関わらずメンテナンスを怠った場合、指導や改善命令、FIT認定の取り消しといった罰則が科されます。改正FIT法では、出力10kW以上の太陽光発電設備には経済産業省へのメンテナンス報告義務もあるため、メンテナンス内容を保管しておきましょう。適切にメンテナンスし、記録を保管しておくことで、法的なトラブルも避けられます。
もし、メンテナンスや保守点検を行わず発電し続けると、FIT認定の取り消し処分を受けてしまいます。そのため、FIT制度を利用できず、初期費用を回収できなくなることもあります。
◇発電効率を維持できなくなる
太陽光発電は、ダストや鳥の糞などがパネルに付着すると、日がきちんと当たらない部分ができるため、発電効率が下がります。定期的な清掃や点検により、適切な発電状態を保てます。
メンテナンスを定期的に行うことで発電効率を維持するだけでなく、システム全体の寿命を延ばせるようになります。メンテナンスは、故障を防ぐだけでなく、発電量を最大化し、投資回収期間を短縮するためにも大切です。
◇故障や火災のリスクが高まる
太陽光発電のメンテナンスを行わず、鳥のフンや落ち葉などが太陽光パネルに付着したまま放置すると、パネルの一部が発熱するホットスポット現象を引き起こします。ホットスポットとは、太陽光パネルが局所的に発熱して高温になる不具合、またはその発熱した部分のことです。
太陽光パネルが発電しているときの温度は、通常時で約50℃～70℃程度、30℃を超える真夏では70℃～80℃です。ホットスポット現象を生じた箇所の温度は100℃以上になり、故障や火災のリスクが上がります。中には300℃近くになった事例もあり、非常に危険です。
また、配線同士の接触不良や劣化したケーブル部分のショートが原因となり、発熱から周囲に燃え広がる可能性があります。このように、太陽光発電のメンテナンスを怠ると罰則の対象となるだけではなく、効率面、安全面でも不具合がおきるため、定期的なメンテナンスを専門業者に依頼することが必要不可欠です。
太陽光発電のメンテナンス内容と費用の目安
太陽光発電のメンテナンスは、不具合・事故防止のためにも大切なもので、法律でも義務付けられています。専門業者による定期点検と日々の日常点検を実施することにより、トラブルを未然に防いで太陽光発電設備を運用できます。メンテナンス内容と費用について正しく理解しておきましょう。
◇メンテナンス内容
太陽光発電設備のメンテナンスには、専門業者に依頼して実施してもらう 「定期点検」 と、太陽光発電設備の所有者が実施する 「日常点検」 の2つがあります。
・専門業者が行う定期点検
定期点検は、販売店・工務店・太陽電池モジュールメーカー等の専門業者に依頼するものです。設置後1年目、その後は4年に1度の実施が推奨されています。点検項目は設置後の年数や使用状況によって異なり、例えば以下のような点検内容です。
1.太陽光パネルの絶縁抵抗値・開放電圧の測定
2.パワーコンディショナの異音・発熱・通気孔の目詰まり等の確認
3.ボルトの緩みの確認
4.外観の目視点検（ケーブル・架台の損傷の確認、雑草の影になっていないか等）
・自身で行う日常点検
太陽光発電設備が異常なく動作しているか、できる範囲で外観異常、異音・異臭等を確認します。また、定期的に発電量をチェックすることも異常を発見するために有効です。
一般社団法人日本電機工業会・一般社団法人太陽光発電協会 「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」 による日常点検要領を参考にしながら、個別の設備にあわせて日常点検を実施しましょう。
引用：一般社団法人日本電機工業会・一般社団法人太陽光発電協会 「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」
◇メンテナンス費用の目安
住宅用太陽光発電設備のメンテナンス費用の相場は、10kW未満の場合1回2万円程度です。住宅の屋根にパネルを設置している場合、足場代がかかるため、壁一面あたり8万円程度上乗せして費用がかかる目安です。
また、設備に不具合が生じた際は、修理・交換のために費用が発生することがあります。例えば、太陽光パネルの交換であれば1枚あたり5～15万円程度、パワーコンディショナの交換では10～30万円程度が目安です。
埼玉県でおすすめの太陽光発電会社3選
太陽光発電の設置時は太陽光発電会社選びがとても重要です。埼玉県で、太陽光発電のメンテナンスを専門業者に依頼するときにおすすめの太陽光発電会社を紹介します。
◇株式会社カンエイ
2018年に設立されたカンエイは、埼玉県さいたま市に本社をおき、太陽光発電事業、電気工事事業、空調設備工事を総合的に行う会社です。柱となる事業が複数あり、太陽光発電についての専門会社として、トータルに相談しやすいのが魅力です。
◇株式会社メデア
埼玉県さいたま市にあるメデアは、産業用・住宅用太陽光発電を取り扱う会社です。卒FIT対策として、太陽光発電プラス「蓄電池」、太陽光発電プラス「ZEH」「V2H」など様々な選択肢にも対応可能です。
◇株式会社 e-style
埼玉県川口市にあるe-styleは、太陽光発電・蓄電池システム・オール電化の販売・施工の事業をしている会社です。地域密着の相談、サービスを強みとしています。
住宅用太陽光発電には定期的なメンテナンスが法律で義務付けられています。2017年の改正FIT法により、10kW未満の住宅用太陽光発電も対象となり、適切な管理を行わなければ売電ができなくなる可能性があります。
メンテナンスには「保守点検」と「維持管理」の2つの側面があり、それぞれ異なる役割を果たします。メンテナンスでは、太陽光パネルやパワーコンディショナなどの清掃や交換を行い、長期的な安定稼働を目指します。一方、保守点検は設備の破損や発電効率の低下を防ぐための定期的な検査を意味し、目視による点検や専門機器を用いた測定が含まれます。
適切な点検・管理を怠ると、発電効率の低下や機器の故障、さらには火災といった重大なリスクにつながるため、専門業者による定期的なチェックが推奨されています。太陽光発電のメンテナンスには、「専門業者による定期点検」と「所有者自身が行う日常点検」の2種類があります。定期点検は設置後1年目、その後は4年に1度のペースで行うのが一般的です。
専門業者による点検では、太陽光パネルの絶縁抵抗値や開放電圧の測定、パワーコンディショナの異常チェック、ボルトの緩み確認などが行われます。一方、日常点検では、設備の外観確認や異常音・異臭の有無をチェックし、発電量の推移を把握することが重要です。
メンテナンス費用の目安としては、住宅用太陽光発電（10kW未満）の場合、1回あたり2万円程度が相場です。ただし、屋根設置の場合は、点検の際に足場を設置する必要があるため、1面あたり8万円程度の追加費用が発生することがあります。
埼玉県内には、住宅用および産業用太陽光発電の設計・施工・メンテナンスを手掛ける企業が多数存在します。例えば、さいたま市に本社を構える株式会社カンエイは、太陽光発電に加えて電気工事や空調設備工事も行う総合的な対応力を持つ企業です。
その他、蓄電池やV2Hシステムの導入にも対応可能な株式会社メデアや、埼玉県川口市に拠点を置く株式会社e-styleなどが、幅広いニーズに対応しています。
