ニチコンの産業用蓄電システムとパワーコンディショナーとは?
ニチコンの産業用蓄電システムとパワーコンディショナーは、持続可能なエネルギー管理を実現するための重要な技術です。これらのシステムは、再生可能エネルギーの効率的な利用を促進し、電力の安定供給に貢献します。
特に、蓄電システムは、ピーク時の電力需要を平準化することで、コスト削減を可能にし、環境への負荷を軽減します。こちらでは、ニチコンの革新的なソリューションの特徴とその実績について探ります。
目次
Can Do!の精神~ニチコンの多角的成長戦略
ニチコンは、電子部品やデバイスの製造を行う企業として、業界で高い評価を受けている会社です。特にサステナビリティの追求に関しては独特の方針を持っており、今後の展開が期待されています。
◇企業概要
1950年、「株式会社関西二井製作所」として設立されたニチコンは、設立当初はアルミニウム電解コンデンサの製造・販売などを主な生業としていました。1960年になって京都府亀岡市に現ニチコン亀岡株式会社となる亀岡工場を新設し、タンタル固体電解コンデンサの製造や各種ハイブリッドICの生産を開始します。
「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献します。」を理念とする同社は、現在では東証プライム市場で上場している電子部品・デバイス製造業として評価を受けています。同社のコンデンサはエアコンや洗濯機といった家電製品の他に、パソコンやスマートフォン、自動車などにも搭載されています。
2003年3月にはコーポレートステートメント「Can Do!すぐに、期待以上のこと。」を制定し、「今すぐやる」という「実践力」をもった企業であることを理想に日夜邁進しています。
◇サステナビリティの追求
「サステナビリティの追求」は、ニチコンの大きな柱のひとつです。価値ある製品の創造を通じて明るい未来社会づくりに貢献すると共に、よりよい地球環境の実現に努めること、品質、コスト、納期、サービス、技術などあらゆる面において最上級を目指すトップノッチ経営※によって顧客の価値を高め、企業の発展と全従業員の幸福を目指すことが同社の方針です。
また、環境保全に関してもニチコングループは「地球との共生」「人と環境に優しい社会」を目指しており、企業活動のあらゆる面において環境保全に配慮して行動しています。それだけではなく、環境に負荷を与える物質の管理基準を「ニチコングループグリーン調達ガイドライン」として定め、持続可能な社会の構築に貢献しています。
長寿命の公共・産業用蓄電システム
画像出典:ニチコン
同社では電気料金を削減し、環境に優しい長寿命の公共・産業用蓄電システムを導入しており、サスティナブルな環境づくりを推進しています。
◇電気料金を削減し環境に優しい
太陽光発電を中心とした電力バックアップシステムを導入することによって、万が一の停電時でも天候や時間帯に関係なく、電力を供給することが可能です。同社の蓄電システムを導入することによってピークカット・ピークシフト効果を最大限に活用し、電気料金を削減することも可能です。
単価が安い夜間電力は蓄電システムに充電し、昼間は宮殿をすることで、大幅に電力料金を節約することができます。太陽光発電を活用することにより、火力発電由来の電力の使用を最大限に削減することができるため、CO2排出の削減を推進し、環境保全への取り組みをアピールすることができるのもニチコンの大きなメリットです。
◇長寿命で太陽電池と連携可能
ニチコンの電池セルには安全性に優れたオリビン型リン酸リチウムが採用されており、電池の容量を無駄なく最大まで使えるため、有効な電池利用が可能です。業界最高水準の充放電サイクル寿命15,000回で、太陽電池と連携することによって電力の地産地消が実現できるのもニチコンのメリットといえるでしょう。
太陽電池との連携に関しては、メーカーを選ばず各社の太陽電池に直接接続できるため、太陽光発電電力を最大限に有効活用できます(最大開放電圧:550V)。ニチコンの電池セルは過充電でも発火しない安全性に優れ、TÜV Rheinland(テュフ ラインランド)の製品安全検査にも合格しています。
産業用蓄電システムの導入事例
画像出典:ニチコン
ニチコンの産業用蓄電システムは、エネルギー管理の効率化やコスト削減に貢献する重要なソリューションとして、多くの企業に導入されています。近年、再生可能エネルギーの普及に伴い、蓄電システムの需要が高まっており、ニチコンはそのニーズに応えるべく先進的な技術を提供しています。
◇山形県鶴岡市立あつみ小学校
山形県にある鶴岡市立あつみ小学校には、2017年12月にニチコンの蓄電システム(15kWh)が納入されました。鶴岡市の「市民の安心安全を守るべく、防災強化に率先して取り組む」という方針に沿った対策として、非常時におけるバックアップ電源として同社の蓄電システムが導入されています。
2019年6月18日には山形県沖を震源地とする地震が発生し、鶴岡市などを含む延べ9,200戸が停電したものの、あつみ小学校にはニチコンの蓄電システムから職員室に電力が供給されたため、停電復帰までの間、急場をしのぐことができました。
◇沖縄県北大東島
沖縄県北大東島(きただいとうじま)は、防災強化の一環として蓄電システムの設置に力を入れています。2016年3月には村役場をはじめ、宿泊施設ハマユウ荘、小中学校などにニチコンの公共・産業用蓄電システムが納入されました。
那覇から飛行機で約1時間の場所に位置する北大東島は、サトウキビの栽培などで知られており、「うふあがりじま(はるか東にある島)」として昔から親しまれてきました。
2020年9月5日には北大東島を台風10号が直撃し、約2日間にわたって全島が停電しましたが、ニチコンの公共・産業用蓄電システムを設置した場所では蓄電した電力が照明やテレビ、携帯電話の充電などに供給されたため、島民にとっても安心のできるポイントとなったことは見逃せません。
さまざまな蓄電池の活用法を提案
ニチコンの蓄電池は、万が一の災害時のみに役立つわけではありません。EVパワー・ステーションや、さまざまな事業において、蓄電池の有効活用が期待されています。
◇EVパワー・ステーション
ニチコンの蓄電池は、EVパワー・ステーションで重要な役割を果たしています。同社の蓄電池は、電気自動車(EV)の充電に必要なエネルギーを蓄え、充電ステーションの効率を向上させるために使用されます。特に、ピークシフトや再生可能エネルギーの活用に寄与し、電力の安定供給をサポートします。
ニチコンは、長寿命や高効率、さらには安全性に優れた蓄電池ソリューションを提供しており、これによりEV充電インフラの拡充が進んでいます。さらに、蓄電池と連携したスマートグリッドの構築も期待されており、エネルギーの最適化が図られています。
これにより、持続可能なエネルギー社会の実現に今後も大きく寄与していくことが期待されます。太陽光発電の余剰電力をEV/PHVに充電し、クリーンで経済的なドライブを実現することも可能です。
◇事業での活用
企業がEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)の普及を進める中、「ワークプレースチャージング(WPC)」が注目されています。これは、職場に充電器を設置することで、従業員が勤務中に車を充電できる環境を整える取り組みです。
これにより、充電設備のない住宅に住む人々も基礎充電場所を確保でき、環境や社会に貢献することができます。さらに、「バーチャルパワープラント(VPP)」の導入により、余剰電力の有効活用が期待されています。
分散した蓄電池をネットワーク化し、充電・放電を遠隔で制御することで、効率的な電力管理が実現します。これらの取り組みにより、再生可能エネルギーを最大限に活用し、持続可能な地球環境の実現が可能となります。
ニチコンは、1950年に設立され、アルミニウム電解コンデンサから始まり、現在は幅広い製品を展開しています。同社の柱の一つであるサステナビリティに対しては、地球環境の保護に努め、環境に優しい長寿命の公共・産業用蓄電システムを導入しています。
これにより、電気料金を削減し、CO2排出の抑制を実現しています。ニチコンの蓄電池は、太陽光発電システムと連携可能で、業界最高水準の充放電サイクル寿命を誇ります。また、山形県の学校や沖縄県の公共施設に蓄電システムを導入し、災害時のバックアップ電源としても活用されています。
さらに、EVパワー・ステーションやバーチャルパワープラントの導入を通じて、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献しています。ニチコンは、環境と共生しながら新たな価値を創造し続けています。